一.万葉の歌人に詠われた荒津の海と西公園
(福岡市中央区西公園、荒津)
扇の形の博多湾。その要(かなめ)の地点に位置する西公園。
現在の中央区、小高い荒津山を中心とし、眼下の博多湾から玄界灘を遠くに望む風光明媚な場所で、対外交流で栄えた福岡の歴史を見守った舞台です。
古代には鴻臚館に滞在する国内外の使節が行き来した港があったとして、万葉集にも詠まれています。
ふもとに徳川家康をまつる東照宮が建てられたほか、整備された港からは、筑前の産物を積んだ多くの商船や、
長崎に警備に出かける福岡藩の軍船が出航して行きました。
その後、黒田如水(じょすい)、長政をまつる光雲(てるも)神社も建てられ、万葉の歌碑、維新関係人物の銅像もおかれるなど、
大濠公園とつながって福岡の歴史を語る代表的スポットとなりました。2500本の桜、1700本のつつじともみじを有する、
遊歩道付自然公園として、四季おりおりの香りを発する公園として訪れる人が絶えません。
《万葉歌碑》
荒津の崎
神さぶる 荒津の崎に寄する波 間無くや妹に 恋ひ渡りなむ
巻15-3660
西公園入口
草枕 旅行く君を 荒津まで 送りぞ来ぬる 飽き足らねこそ
巻12-3216
大濠公園池の中道
白栲の 袖の別れを 難みして 荒津の浜に 宿りするかも
巻12-3215